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大阪アジアン映画祭(2) [映画祭]

2日目(3/15)は『サイアム・スクエア』から。少年たちの表情の良さに引き込まれ、途中で挟まれる曲の良さ(ミウが作曲したということになっているが、監督の自作だそう)にうっとりし、少年同士の仄かな官能、青春のほろ苦さなどに酔いしれるうちに2時間40分などあっという間にたってしまった。愛と喪失、挫折と希望を繊細に描いたこの映画は、大スペクタクルや歴史的絵巻や大どんでん返しなどなくても、2人の少年の泣き顔と笑顔さえあれば、十分に映画的官能を、映画的興奮を味わえることを教えてくれるいい一例だと思う。タイ映画なのだが、「愛」、「音楽」という普遍性が高いものがテーマなので地域色が少ないのも特徴。
ティーチインはチューキアット・サックウィーラクン監督が登場。少年少女たちがプロなのか、オーディションで見つけたのかを質問してみたのだが、トンはオーディションで選び、ミウはなんと監督の後輩だということ。演技指導などで留意したことはあるかという質問には、トンとミウを仲良くさせて、しばらく引き離して逢わせないとか、様々な手管を使用したそう。
監督は誕生日だったということで、バースデーケーキが用意され、みんなで祝いました。
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この素晴らしい作品は初夏にDVD化されます。音楽だけ聴いていても本当にいい気分になると思うので、私も買ってしまうと思います。観ていない人はもちろんおススメ。詳細はコチラ→http://www.loveofsiam.jp/

次はエドウィン監督の『空を飛びたい盲目のブタ』。1日目に短編を観てかなり気に入ったエドウィン監督の初長編作品。短編だとそれぞれのイメージが観終わった後広がっていくような感じで、とても豊かなものがこちらにもたらされる気がするのだが、この映画は、インドネシアにおける中国系の人々への差別、盲目であること、ゲイネスなど、様々なモチーフが積み重なっていき、それが徐々に重くこちらにのしかかってくるようであった。観終わった後はずっしりと石を持たされた感じ。評価すべき作品であることは認めるが、好き嫌いで言ったら短編のポエジー、ユーモア、身軽さの方が好きかもしれない。
ティーチインには短編上映の時と同じく、プロデューサー/撮影監督のシディ・サレ氏が登場。何度もスティービー・ワンダーの「I just called to say I love you」が流れ、その都度違う意味に捉えられる手法が面白いが、着想は?という質問をしたら、答えがとても面白かった。「手法も何も、払った著作権があまりにも高かったので、使い回しただけ」とのこと。この映画は、エドウィン監督自身が中国系であることから、その心情などを表現した映画であるとのこと。いずれにせよまだ若いお2人(短編のいくつかは大学在学中の作品だそう)、今後の作品が楽しみである。

次は唯一の日本映画、瀬田なつき監督の『彼方からの手紙』。東京藝術大学大学院修了作品ということで、同じ修了作品の濱口竜介監督の『PASSION』に非常に感心したため、期待度大で観たのだが・・。確かに映像的に様々な試みをしていて、それがことごとく決まっている。ロケーションなどロードムービーとしての魅力も十分である。ただ、吉永の人物描写にちょっと難ありか。映画的なシチュエーションを優先させたのか、少女とドライブに行ってしまう時点で感情移入が難しくなってしまい、そうすると父親が住んでいた家でのすったもんだが、ちょっと引いて観てしまうので恥ずかしい。
あと、女性監督なのに「少女」の描き方が男性監督がやるみたいな描き方で、その屈折というか屈託のなさにちょっと驚き、クラッときた。まぁまだ若い監督だし、意識的にやっているわけでもないのだろうが。しかしそう考えると、やはり『PASSION』の登場人物に対する意地の悪さは驚くべきものなのだが。
上映順序として、エドウィン監督の毒の後では分が悪かった気もする。しかし逆に、『空を飛びたい・・』の後にこの作品を観て、清涼剤のように感じた方も多いのかも。ティーチインでは愛らしい監督ご本人に、男性からの質問が殺到していた。

最後はクリス・マルティネス監督の『100』。がんを患った独身キャリアウーマンの話。ふだん『死ぬまでにする100のこと』というようなタイトルだと、ほとんどといっていいほど食指が動かない。やはり結末のわからなさが映画を観る動機の一つなのだろう。あと全編メソメソされると気が滅入りそうだし。
しかしこの映画は結末は勿論わかってしまっているのだが、死を迎える主人公があまりメソメソしないのがいい。ジョイスは、黒沢明の『生きる』みたいに「何か生きた証を残そう!!」っていうんでもなく、本当にただやりたいこと、やりたかったこと、やり残したことをやっていく。ラストはほとんどハッピーエンドのような終わり方で、これはフィリピンの宗教観もあるのだろうか、確かに新鮮だし、感動的だった。

新幹線の終電を逃すとこの日のうちに東京に帰れなくなるので、ティーチインをパスして急ぎ駅へ。なんとか新幹線に乗り込みほっと一安心。ほとんど観光する暇がなかったし、短い間だったけど、アジア映画と大阪、両方の熱いパワーを感じることができた2日間でした。特に今回は孤独や喪失感などを感じさせる映画が多く見受けられ、中国や東南アジアも、経済発展が進むにつれそういう時代になっているのかと思わされました。その中で、愚直なまでに愛を語った『サイラム・スクエア』が異色でしたがパワーを感じ個人的には№1でした。
最後に、いろいろと便宜を図ってくださった大阪アジアン映画祭の事務局のみなさんにこの場を借りてお礼を申し上げます。来年また行きます!!
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